昇華された“怒り”(2/6)
フレンドリーな「おじーちゃん」
「こんな壮大な作品を描く石山朔さんとはいったいどんな人なのだろう?」
自宅をかねたアトリエを訪ねたときは、正直言ってちょっと緊張していました。ピカソやゴーギャン、ムンクなどが頭をよぎります。孤独や苦悩を抱えた気難しい巨匠たちの、孤独や苦悩、不安感、気難しそうなイメージが、まだ見ぬ朔さんに重なります。
ところが、会ってびっくり。今まだかつて会ったことがないほど、陽気でフレンドリーな「おじーちゃん」でした。
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その日、庭では2歳になるひ孫さんが笑い声を上げて駆け回っていました。
門を開けると、ひ孫さんの相手をしていた女性(朔さんのお孫さん)が「いらっしゃーい!」と声をかけてくださり、「おじーちゃーん、お客さん来たよー」と奥に向かって叫びました。
庭に出てきた朔さんは「やぁ、よく来たね!」と張りのある大きな声。久々に訪ねてきた孫娘でも迎えるように両手を広げて迎え入れ、握手してくれました。温かく、力強い手です。
この手で、時に直接、絵の具をキャンバスに広げ、半世紀近くも作品を生み出してきた朔さん。力を込めて色を重ねるパステル画のために変形した関節が、けして平坦ではなかった人生を感じさせます。それなのに、まるでお地蔵様のような笑顔です。
朔さんの奥様、ふたりのお孫さんとそのパートナーの方なども、家の中からわらわらと出てきては、口々に歓迎してくれます。
S.A.K.U. PROJECT総出での出迎えです。(続く…)