「子の福祉」って何?(1)

そもそもこの言葉を聞く機会が増えたのはなぜなのでしょう。考えられる理由はいくつかあります。
①こども家庭庁ができ“まがりなりにも”「子どもまん中社会の実現」を目指す機運が高まっていることや、②それとの関連で「子どもの意見(意思)の尊重」が言われるようになったこと。
③民法改正で共同親権が法制化されたこと、④その本格実施を目前に控え、離婚を考える夫婦が「子どものこと」を考えないわけにはいかなくなってきたこと。
⑤以上のような社会情勢を受け、別居・離婚・面会交流をめぐる悩みをかかえて、カウンセリングを利用する方が増えたこと、などでしょうか。
現場で聞こえる「子の福祉」
臨床の場で聞こえる生の声で表現するならば、元配偶者をできるだけ排除したいと考えている子どもと同居している親は「子の福祉を優先して面会交流を控えたい」と主張し、別居している親は「子の福祉を優先して面会交流を豊かにするべきだ」と主張します。
そうした双方の親が見せてくれる調停や審判、裁判資料のなかにも「子の福祉」という文言が、たくさんちりばめられています。
おおまかに言うと、「子どものためを考えて」という意味合いで使われているように感じます。
かなり眉唾

すでに書いたように、同居親、別居親はそれぞれの立場で、もっと言えば「親の思い」も含まれた「子どものため」を考えます。
裁判官や調停委員は今、子どもが生活している環境や子どもの状態に目立った問題がなければ「子の福祉にかなっている」と考える傾向があります(現状維持の優先)。また、子どもと会って話し、子どもの意思を確認する機会もある裁判所調査官は、「子どもがどう考えているか」に寄って答えを出そうとしているように見えます。
民法に明確な定義が無い
民法では、子の利益のために監護教育権(第820条)を設けていますが、「子の福祉」そのものについては明文の規定がありません。だからこのように迷走するのでしょう。
非常にぼんやりとした、曖昧模糊とした「子の福祉」の概念ですが、おそらく大多数が反対しない定義をあてはめるとしたら、「子どもがすくすくと成長発達するために必要なものを用意すること」または「成長発達を阻害しないようにすること」。
つまりは、子がどのように育つことが良いか、子どもの成長発達には何が必要なのかを明らかにし、そのために親子関係はどうあるべきかを定義することと言えるでしょう。
ただし、こうした抽象的な概念について、通常、法律では定義しません。










