オリパラの先にあるものは?(1)

東京パラリンピックが無観客のまま開幕しました。新型コロナウィルスの全国的な感染拡大の中での開幕です。

この間、海外から来日し選手村に滞在する選手1人を含む新たに10人が新型コロナウイルスに感染したと報道されました。大会組織委員会の発表(24日)によると、東京パラリンピックに関連して新型コロナの検査で新たに陽性反応を示した人は10人。

これで組織委員会が今月12日から発表しているパラリンピック関連の感染者は154人となりました(『NHK NEWS WEB』2021年8月24日) 。


中止という選択肢は無いまま

東京オリンピックの開催が感染拡大の大きな要因だったことはもはや明白です。「海外から来た関係者が持ち込んだ」「聖火リレーや開会式時に人が集まった」というような、物理的な理由だけでなく、人々に「オリンピックをやってるんだから、オリンピック関係者は平気で出歩いているんだから、自分たちだって多少は出かけてもいい」という気持ちにさせたという側面が、非常に大きかったことは否めません。

それにもかかわらず、政府やオリンピック関係者からは、「オリンピックのおかげで(家でテレビを見たりする人が増えて)人流は減っている」という、驚くような発言が飛び出しました。そして、パラリンピックの中止はただの一度も、議論の俎上にも乗りませんでした。

驚きの「学校連携観戦プログラム」

子どもたちへの感染が広がり、「2学期から通常通り登校できるのか」「基本的にオンライン授業にすべきでは」という話も出るなかで、東京パラリンピックの観戦機会を子どもたちに提供する「学校連携観戦プログラム」は取り消されませんでした。

競技会場のある埼玉、千葉、東京の3都県が計約17万2千人を対象に実施する予定だとの報道(『東京新聞』21年8月22日)を見て、卒倒しそうになりました。

実際には、参加を望まない家庭や学校も出てくるため、もう少し減ったでしょうが、この現状を踏まえたら驚きの数字です。何より、実行するという勇気にびっくりです。

学ぶのは商業主義のえげつなさ

パラリンピックを観戦すれば、「学校連携観戦プログラム」を強硬に後押ししている小池百合子都知事らが言う「共生社会について学ぶ」ことが本当にできるのでしょうか。

私にはとうていそうは思えません。
前回までのブログ「不信オリンピック」でも書いたように、子どもたちが学ぶのは、力ある者の横暴さであり、矛盾に満ちたダブルスタンダードです。

学校や友達との遊びや、行事は中止。それなのに、オリパラは実施する。
不要不急の外出は自粛で夏休みの旅行は中止なのに、バッハ会長の“銀ぶら”はOK。
人が集まることはしてはいけないはずなのに、パラリンピックには行く。
「安心・安全」と言いながら、感染者が拡大してもその責任は取らない。

共生どころか、商業主義のえげつなさや“持てる者”とそうでない者との決定的な格差を実感したことでしょう。

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Posted by 木附千晶