オリパラの先にあるものは?(2)
オリンピック・パラリンピックを強行しようというのならば、せめて国民に潤沢なワクチン供給を約束するべきでした。
ジャニーズのコンサートのようにすぐに埋まってしまう予約枠のおかげで、多くの人がワクチンの予約のために無駄な労力を使わされています。ワクチンを打ちたくてもいまだ打てない人がいっぱいいます。
東京都渋谷区に設置された東京都若者ワクチン接種センターに長蛇の列ができたことを見ても、「若者の接種意識は低い」という話も眉唾です。
接種のための予約方法も、少ない供給量を隠すために、わざわざ予約手続きを複雑にしているのではないかというような手間がかかり、とても不親切です。
アメリカでは身近なドラッグストアで簡単に接種予約が取れたり、球場など不特定多数の人が集まる場所で未接種の人にワクチンを打って歩いたりという話も聞いたとき、日本との違いにびっくりするのを通り越し、怒りがわきました。
ただ国民に責任を押し付けただけ
自粛に応じた飲食店等に協力金の支給はしていますが、その支払いが遅かったり、申請がややこしかったり、飲食店に物品を納入する業者は含まれなかったりなどと、またもや「できるだけ金を使いたくない」という姿勢がありありです。
「だれでもなり得る」とのスタンスで
もはや感染はだれでもあり得ます。マスクをして、手洗いに気を付けていても、できるだけ外出しなくても、だれもが陽性者になり得ます。
実際、医療現場のひっ迫で病院に入れず、適切な保健所のサービスも受けられない自宅療養の人も増え続けています。
それなのになぜ、陽性者を一堂に集めて医療チームが重症度に応じた治療ができるような“野戦病院方式”の治療施設を設置するなどの医療体制をつくろうとはしないのでしょう。
「だれでもなり得る」というスタンスで、かかったときにだれもが安心してすぐに医療を受けられる体制づくりこそ、今は急ぐべきではないでしょうか。
オリンピックやパラリンピックのために設置された会場を効率的な陽性者の治療病院として提供するほうが、ずっと共生社会を学ぶ機会になるのではないでしょうか。