来年は「正義中毒」に振り回されない年に

 社会、いや、世界全体が新型コロナ・ウィルスに振り回されたこの1年。その全体を振り返って、つくづく感じるのは「正義を振りかざして他者を攻撃する」人が増えたということです。

 ベストセラーにもなった脳科学者の中野信子さん著書『人は、なぜ他人を許せないのか?』でも「正義中毒」という言葉が話題になりました。

「テラスハウス」事件

 思い出されるのは、フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演し、視聴者から誹謗中傷を受けた女子プロレスラーの木村花さんが、享年22歳という若さで自殺した事件です。

 つい最近、警視庁が「ツイッターで中傷する投稿を繰り返した」として、20代男性を書類送検する方針を固めたとの記事を読みました。
男性は5月中旬ごろ、木村さんのツイッターの投稿に「生きてる価値あるのかね」「ねぇねぇ。いつ死ぬの?」などと匿名で複数回書き込み、侮辱罪の容疑がもたれているそうです。

マスメディアの「正義中毒」

 ところが今も、視聴率稼ぎのため、悪感情をあおったテレビ局の責任はいまだ問われません。弱い者を利用して、都合の悪いときはほおかむりを決め込む。まるでどこかの政治家のようです。

 たとえ少数派となったとしても権力者を監視し、弱者を代弁するーーそんな「真の正義」たるジャーナリズムの役割を昨今のメディアはほとんど果たしていないような気がします。
 それどころか、大多数と一体化して決して反撃できない者をなぶり者にし、徹底的に避難しているというのが現状ではないでしょうか。

 そんなマスメディアの「正義中毒」を感じたのが、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建さんが複数の女性と性的関係を持っていたという一件です。

理解に苦しむ

 記者会見時の「渡部さんにとって多目的トイレとはどんな場所ですか?」というメディアからの質問には、本当に吐き気がしました。「自分は正しい」というナルシスティックな思い上がりが、プンプンに匂っていました。

 複数の女性と関係を持つことがいいことだとは言いません。報道されているように、相手の女性を軽んじた扱いをしたのだとしたら、それも許されないでしょう。

 しかし、妻子がおり、芸能人という注目を集める立場にいながら、こうした行為が止められなかった彼の“病”には、それなりの理由や不安があるはずです。その事情も知らない者が一方的に責める行為は、たんなるいじめです。

 そもそも、夫婦関係、男女関係のことをどうして他人が「正しいの」「間違っているの」と声高に叫べるのかも、理解に苦しみます。

今やコロナに感染した方々までが対象に

 こうした「正義中毒」は、今やコロナに感染した方々やその家族、医療従事者にまで向けられています。

 どんなに用心していたって感染するときは感染します。それは一個人が対策を怠ったかとか、規制や自粛を守ったかという道徳の問題ではなく、政治や行政の感染症対策の問題です。

 そんな冷静な判断もできず、欲求不満解消のために安全な場所から弱い立場の者を攻撃し、正義を気取った気持ちでいる。

 ーー来年こそは、こうした「正義中毒」に振り回されない1年になりますように。

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