子どもの虐待と一時保護(2)
もちろん、虐待はあってはならないことです。しかし、親との分離は子どもの人格形成に大きな影を落とします。容易に引き離すことは許されません。
虐待や親の精神疾患などの問題で、親子分離せざるを得ない状況があったとしても、重視すべきは親との再統合です。虐待親であるならば、なぜその親は虐待してしまうのか、どういう援助があれば親は変わることができるのかなどを明らかにすべきです。
どうしても子どもを世話できない親であるならば、一緒に暮らすことは無理でも頻繁な親子の交流をどう保障するのかを考えなければなりません。
数年にわたって親と会えないケースも
前回、このブログに書いた明石市のケースでは、「引き離されていた期間、子どもと両親が会えたのは月二回ほどの面会のみ」だったそうですが、私が知っている中には数ヶ月、下手をしたら数年にわたって、まったく親に会えなかったというケースもあります。
そうしたケースでは、「親の連れ戻しが対策」とか「子どもが動揺するから」という理由で、面会はもちろん、手紙や電話のやりとりも禁じられている場合がほとんどです。
根拠は曖昧なまま
しかし、その根拠は極めて曖昧です。
たとえば私が知るあるケースでは、「虐待する父親からの追跡」を恐れ、今は」父親と離れて暮らしている母親からの電話や手紙さえ、受け付けないということがありました。
また、「お母さんのところに帰りたい」と泣き叫んだことをさして、「母親のことで情緒的に不安定になっている」と、母親からの連絡を絶ち、子どもには精神安定剤を投与していたケースもありました。
子どもが大好きな母親から引き離されたのですから、子どもの反応は至極健全なことです。
一日も早くSBSの検証を
こうした話を聞くたびに、「いったいだれの目線で、だれのための保護なのか」と憤らざるを得ませんでした。
一日も早くSBSについての検証が進み、一時保護のあり方や家族再統合の方法が見直されることを望まずにはいられません。