ホスピタリティとガイド(5)

松葉杖

 この春、足を骨折したとき、私は本当に不便を感じました。都内のわずかな移動でも、そのたびに肩身の狭い思いもしましたし、スーパーでの買い物はとっても憂うつでした(『排除の論理と子どもの気持ち』)。

 なるべく出かける用事や、仕事を削って家に閉じこもっていました。自宅と職場の往復だけでも大変なので、間違っても松葉杖で旅行することなど考えもしませんでした。

「でも南米だったら、旅行できたかもしれない。たとえ松葉杖でも楽しめるかもしれない」
 
 今回の旅行を終えて、私はそんなことを思いました。

スタンダードからはみ出しにくい日本

 そして改めて考えました。

 どこかに不自由があることで、しんどく感じたり、出かけたくなくなってしまうのは、「体が思うように動かないこと」よりも、「他の人と同じようにできないことからくる不便さであり、そのことで疎ましがられたりすること」が理由なのかもしれないと。

 全体の効率性重要で、個人のニーズは後回しにされがちな日本では、スタンダードからはみ出すことは、恥と感じられます。
 学校でも職場でも、「多様性の大切さ」は謳われていますが、みんなと違う主張をすれば「わがまままだ」と言われ、仲間はずれにされたりします。

南米のガイドさんのように

決意

 私がお目にかかるクライアントさんも、「みんな(普通)と違う自分」に悩み、周囲の期待や要望を読み取っては頑張り、それに添えない自分を責めていたりしています。
 そうして自分を押し殺して暮らしているうちに、本当に自分自身を見失ってしまうことも少なくありません。

 そんな方達にとって私は、「南米で出会ったガイドさんのようでありたい」と、思いました。ただ適応を促し、「行くべき方向」に導こうとするのではなく、「その人が望んでいること」を汲み取り、その人らしい人生の旅のお手伝いができるようになりたいと思ったのです。

カウンセラーとしての誓い

 人間はひとりひとり違います。障がいも、年齢も、できることやできないことも、全部その人らしさ。あらゆることが個性の一部に過ぎません。
 
 そんな他にふたりと無い存在が「大切だ」と感じることを大切にしながら、自分らしく生きて行くために、自分自身の力に気づき、それを取り戻し、活かすために伴走する・・・そんな関わりができるカウンセラーになろう、と心に誓った南米旅行でした。

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