ホスピタリティとガイド(4)
イグアス国立公園のバスツアーのガイドさんも、トイレ休憩などで待たせがちな私たちの事情をすぐに察知してくれました。けれども私たちが気兼ねしないよう、“自然”にサポートしてくれていました。
たとえば集合時間を過ぎてしまったときには、「写真を撮ってあげましょうか」と声をかけてきました。その後、アルゼンチンの国情について聞きつつバスへ戻ると・・・私と同行人以外は全員着席していました。
同乗していた観光客たちも鷹揚で、待たされても嫌な顔などしません。それどころか、遅れて戻って行くと、「よく戻って来た!」(たぶんそんなポルトガル語やスペイン語)と口々に叫び、拍手喝采。口笛を吹きながら大歓迎したりするのです。
多様性を認めるということ
南米の人たちを見ていて、「これが多様性を認めるということなんだ」と思いました。
だれもが「ある一定のスタンダードやルールに合わせて個人を動かそう」とはしません。「個人のニーズや状態に合わせ、できるだけ柔軟に対応しよう」とするのです。
とくにガイドさんたちが圧巻でした。その仕事ぶりは、「よくあれだけバラバラな、まったく違うニーズを持った参加者たちに対し、細かなサービスをしようとするものだ」と感心しきり、でした。
ホスピタリティの精神をいかんなく発揮するガイド
ツアー参加者はみな個別に現地のツアー会社に申し込んでいるので、ピックアップするホテルも、送り届ける場所も様々。乳幼児連れもいれば、お年寄りがいるグループもあり、私たちのように体調不良の組もいます。
バスツアー後の予定も様々。帰宅の途につく人、早くホテルに戻りたい人、夕方から別のツアーに参加する人など、いろいろです。
ガイドさんたちは、そんなてんでバラバラ人たちの希望や予定を細かく把握し、それぞれができるだけ満足できるよう、みんなが「この旅行は楽しかった!」と思えるよう、その知識や能力、ホスピタリティの精神をいかんなく発揮していました。
旅行最終日も
たとえばイグアスの滝ツアーの2日目。私たちは昼頃にツアーを抜け、ホテルへ戻り、夕方には帰国に向けて空港へ・・・というスケジュールでした。
そんな私たちに、ガイドさんはまず、空港に時間までにできそうなこと、行けそうな場所を一通り教えてくれた後、「昼食をどこで、どんな物を食べたいか」、「飛行場に行くまでの時間をどう過ごしたいか」と尋ねてきました。
「せっかくブラジルに来たのだから美味しいお肉を食べたい」、「お土産を買い足したい」と答えると、ガイドさんは「ちょっと考えさせて」と言ってから2時間後。
「いい店を思いついた!」と、私たちを大きなスーベニアショップへと送ってくれました。そしてそこから歩いて行ける美味しいレストランとホテルまでのタクシー代の目安を教え、「16時にはホテルに迎えに行くからロビーで待っていて」と言って去って行きました。
そしてもちろん、16時きっかりにホテルに迎えに来てくれました。