「あおり運転事件」の熱狂(1)

あおり運転

 2019年8月10日に茨城県の常磐自動車道で起きた「あおり運転事件」が連日、ニュースやワイドショーで取り上げられています。
 容疑者の男性(容疑者)は、「あおり運転」をして車を停止させ、運転手の男性を殴って負傷させた傷害事件として全国に指名手配されました。そして18日、容疑者をかくまったとされる女性とともに茨城県警に逮捕されました。

私も車を運転するので、自分勝手な運転にひやっとさせられたり、割り込まれていらっとした経験は多々あります。今回の容疑者の取った行為が、あおり運転の果てに相手の運転手を何度も殴るなど、身勝手極まりないものであることも明らかです。

 しかしそうは言っても、社会を震撼させるほどの大事件とは言えません。それにも関わらず、なぜこんなにも注目されることになったのでしょうか。


注目された要因は? 

 その要因のひとつは事件映像がきちんと記録されていたため、テレビや動画で何度も配信された結果、人々が繰り返し目にする機会が多かったということが言えるでしょう。

 一度なら「理不尽だなぁ」と思いつつも忘れてしまったかもしれない出来事が、二度、三度と繰り返し目にすることで容疑者や理不尽な行為への憤りがたびたび喚起され、「忘れられない大事件」へとなっていったのではないでしょうか。

 ふたつめは、SNSの存在です。映像を見て怒りに駆られた人々の一部が、容疑者とおぼしき人たちのインスタグラム等を発見し、そのコメント欄に恐ろしいまでの罵しりのコメントを書き込み、拡散していきました。
 この過程で、まったく無関係の人物が容疑者をかくまった女生と間違われ、名誉を毀損されるという騒ぎも起きました。

「特定班」の存在

特定班

 SNSにうとい私は始めて知ったのですが、世の中には「特定班」と通称される、犯罪者などの個人情報を暴き立て、インターネット上で平気で公開する恐ろしい人々がいるのだそうです。

 その主な手法や危険性については、「ウレぴあ総研」のサイトをご参照いただければと思うのですが、その情熱たるやすさまじいものがあります。

 会ったこともない、直接的な被害を受けたわけでもない他人をここまで憎み、追いつめようというエネルギーはいったいどこから来るのか・・・。

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Posted by 木附千晶