無敗の王・ディープインパクトが死んだ

サラブレッド

 2005年に無敗の三冠馬となるなど、中央競馬GⅠで史上最多タイの7勝を挙げたディープインパクトが頸椎骨折のため安楽死となり、7月30日にこの世を去りました。17歳でした。
  
「立てなくなった馬は、安楽死させるしかない」
 
 それは愛馬アサクサ・ショウリを看取った経験がある私にもよく分かっています。

 馬の腸はとても長いため、体を動かせなくなると腸の胎動がすぐに止まってしまいます。そのうえ体が重いので、寝たままだと同じ場所に負荷がかかって内臓が壊死し始めます。いたずらに延命措置をすれば、馬は苦しんで死んでいくことになります。


「いじめ自殺」した子の遺書が浮かぶ

 しかし、ディープインパクトの安楽死のニュースは「引退馬がどうして頸椎損傷で手術を受けたのか」との疑問がわき、気になってネット等で調べてみました。

 それらを簡単にまとめると、「今年に入って順調に種付けをこなしていたが、3月に入って種付けで立ち上がる動作をするときに痛みがあり大事を取ることにしていた。その後、頸部に異常が見つかって7月28日に手術を行った。手術は無事終了したものの29日に突然起立不能になった。30日早朝のレントゲン検査で頸椎骨折が見つかり、回復の見込みが立たないことから安楽死の処置が取られまた」ということでした。

 私の脳裏には、IFF時代にブログ(「本音を言えない子どもたち(5)」で書いた2006年にいじめを苦に自殺した福岡市の中学2年生(男子)の遺書が浮かびました。
 彼は、「生まれかわったらディープインパクトの子どもで最強になりたい」「お母さんお父さんこんなだめ息子でごめん 今までありがとう」との言葉を残して命を絶ちました。

 ジョッキーになりたかったという彼が最後まで憧れたディープインパクトの一生ははたして幸せだったのでしょうか。

競争原理の犠牲者

 私は「無敗の名馬」ともてはやされたディープインパクトならば、きっと余生はのんびりと暮らせると考えていました。
「優駿になれなかった馬たち」のように、厄介者としてきちんとした世話もされずに各地を転々とさせられたり、お肉になるということもなく、のびのびと草を食みながら天寿をまっとうするに違いないと信じていました。

 ところがそうではなかったのです。「優秀な血を残す」ために種馬として働かされていた・・・私は少なからず衝撃を覚えました。

 確かに馬は経済動物です。人のために働き、ときにお腹を満たしてもらうことがあっても否定はしません。ただその仕組みややり方に疑問を感じるのです。これについてもIFFのときにブログに書きましたので興味のある方はそちらを参照してください(「愛馬が教えてくれたこと(3)」)。

 せめて、命への尊敬はあってしかるべきです。自分たちに夢を与え、実質的な利益も与えてくれた者に対して、感謝を持って接するという姿勢は必要ではないでしょうか。

 無敗の王者として君臨した強者ディープインパクトでさえ、「取るに足らない自分」の恨みを他者にぶつて悲劇を生んだ「京アニ放火事件」の容疑者と同じ競争原理の犠牲者でしかなかったのだと思うと、やりきれない思いでいっぱいです。

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