子ども不在の国ーー第4・5回日本政府報告書に寄せて(5/6)
日本の学校が「多様性を認めるもの」になっているかどうかも、はなはだ疑問です。東京在住の中学2年生の男の子は、国連に提出した『子ども報告書』に「多様性を認めない学校には行きたくない」とのタイトルで、次のような主旨の文章を書きました。
日本の学校では、苦手だったり、恥ずかしかったり、やりたくないことを無理やりやらされます。いいところは褒めてくれず、悪いところばかりが取り上げられます。先生に何か意見を言うと「態度が悪い」と言われます。扱いづらかったり、自分の意見を持って発言したり、授業がつまらないから勉強に身が入らないでいたりすると、すぐに「発達障害」「特別支援学級に行け」と言うのです。そんな日本の学校はおかしいと思います。
上記は男の子が書いたダイジェスト版です。その全文および『子ども報告書』全体を読みたい方は、ぜひ子どもたちをジュネーブ派遣するためのファンドレイジングにご参加ください。リターンのひとつとして『子ども報告書』が届きます。
まったく効果を上げない不登校対策
いつもいつも思うのですが、子どもの思いや現実と政府(国)の視点が大きくずれてしまうのでしょうか。最大の原因は、「政府(国)には自分たちがやっていることを反省を踏まえて振り返る視点が無い」からなのではないでしょうか。
その好例が、まったく効果を上げていない不登校対策です。
2016年度の不登校の子ども数は126,000人で前年度より1.26%増加しています。ご承知のように、子どもの人数は減っているのに、不登校は反比例するように増えいます。そして驚くことに、とくに1990年代初め、文科省が不登校対策をはじめてから、さらに増えているのです(『知っていますか? 不登校と子どもの権利』)。
これは国が行ってきたさまざまな不登校対策には効果が無いという、はっきりとした証拠ではないでしょうか。
不登校に向精神薬
カウンタレポートでは、まったく効果のない不登校対策を続けている最大要因は、「国が『不登校は子ども個人の問題』ととらえ、『不登校は学校のあり方の問題』と問う視点が無いことである」(教育領域の報告書)と分析しています。
不登校を「子ども個人の問題」と考えるからこそ、「不登校に向精神薬の投与を」という解決法が安易に用いられるのです。同報告書には、あるフリースペースでは15名のうち5名が向精神薬を服薬しているとも記されています。(続く…)