日本礼賛と金メッキ(7/7)

2019年5月29日

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傘をさしたり軒下を借りたりして雨風をよけながら。過酷な環境下ではメッキははがれやすくなってしまいます。

孤独な子育てや余裕のない生活が虐待のリスクを上げることでも明白なように、取り巻く状況が悪ければ人格を保ったり、人とつながったり、生まれ持った能力を発揮することは難しくなります。
だから金メッキの私たちは、できるだけダメージを与える人間関係を離れ、危険なものを遠ざけ、傷つく機会を減らして、メッキがはげないようにしなければなりません。

メッキを貼るお手伝い

“純金製”になれなかったことは確かに残念ですし、そうなれなかった生育歴や原家族を恨みたくなる気持ちは当然です。だからもちろん、その辛さや悔しさ、悲しみや怒りをきちんと感じ、整理していくことは大切です。

そうしてどこかの時点で「残念ながら自分は“純金製”ではないらしい」と納得することも必要です。「どうにかして“純金製”になろう!」ともがいても、足りないものばかりに目が行ってしまい、余計に自分を苦しめることになりかねません。

その作業をひとりで行うことは難しい場合もあります。だからセラピストの仕事のひとつは、そんな大変だった過去をしっかりと「過去のもの」として人生に統合し、悲しいけれど“純金製”ではない自分を受け入れ、もう取り返すことはできない過去を見つめ、上手にメッキを貼っていくお手伝いなのではないかと思っています。

「諦める」のでなく「明らめる」

誤解のないように申し上げておきますが、「諦める」ことは必ずしも悪いことではありません。その語源は「明らめる」・・・つまり「事情や理由を明らかにする」「はっきりさせる」であるとも言われます。(参照元:あきらめる – ウィクショナリー日本語版)(別ウインドー)

つまりそれは、盲目的に何かを礼賛したり、鵜呑みにしたりすることなく、傘や屋根を上手に利用しつつ何が起きているかを見極める努力をし、自らの人生、今の自分をありのままで受け止めていくということではないでしょうか。

セラピストとして傘をさしかけたり、屋根のある場所を一緒に探したりしながら、辛い過去を「明らめ」、バランスを取って生きていくことのお手伝いができたら、と考えています。

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