「もーもーガーデン」と雇い止め(1)

先日、「もーもーガーデン」という、被爆した牛の牧場が福島県大熊町にあることを知りました。 大熊町は、東日本大震災時の原発事故で、今も町の半分が帰還困難区域になっている場所です。

そのため、立入ることができるのは日中のみ。しかも役所の許可が必要で、インフラ整備もされていません。

そんな大変な土地で、飢えに苦しみ、さまよっていた牛を柵内に囲み、牛の「食べて、出す」 力を借りて、①農地を再生し、②山林を保全し、③動物 (野生動物も)と人間と自然の共生を目指す事業を展開しているそうです。


不要とされた存在の持つ大きな価値

「東日本大震災後、5千頭が殺処分されたり、飢死を余儀なくされたりしていた牛たち。そんな『無価値』の烙印を押された命たちが、新たに幸せな人生を生きている。さらには、それだけでなく、逆に人間や自然に幸せをもたらすかけがえのない存在になっている」

これは、かつて私が『迷子のミーちゃん』(扶桑社)でも書いた、「不要とされた存在が、 実はとんでもなく大きな価値を持っている!」というメッセージと同じです。

私たち人間が、「経済的利益を生まない」と切り捨てたもの。そんな小さき存在(牛は大きいですが・・・)こそが、実は私たちの世界を、人生を豊かにしてくれるものなのだという事実を思い出させてくれます。

同日の一面には真逆の記事が

「もーもーガーデン」の取り組みに感動した理由は、実はもうひとつあります。

私がこの「もーもーガーデン」を知ったのは、『東京新聞』(23年4月18日)の裏一面 (最終面)でした。奇しくも、同じ日の『東京新聞』の一面を飾っていたのは、「価値が無いとされたものこそ、この世を豊かにしてくれる」という事実とは真逆の記事。

自治体を支える非正規の地方公務員の雇止め」の記事でした。

同記事は、2005年に 45万5840人だった非正規地方公務員が2020年には 1.5倍の69万73人になったという総務省の調査を掲載。 財政難を理由に非正規への置き換えが進んでいると報じていました。

「20年度の新制度に合わせて総務省が契約の自動更新は2回までとの方針を示し、これにならった自治体が多いため、 今年3月は今までよりも雇止めが行われた可能性が高い」とも指摘していました。

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Posted by 木附千晶