いじめ防止対策推進法は子どもを救う?(9/9)

2019年5月29日

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子どもが、真に自分を大切にし、自分らしく生きながら、他人のためにもエネルギーを注ぐことができるような人間へと成長・発達するためには、身近なおとなに無条件で愛される必要があります。

たとえ市場価値に合わない“ダメな子”でも、「そのままでいいんだ」と抱えられ、受け入れてもらう必要があります。

なぜなら、そうしたおとなとの関わりを持てなければ、「自分はそのままで価値がある」という自己肯定感や「世の中は自分を受け入れてくれている」という基本的信頼感、「自分の痛みに共感してもらった」という共感能力は決して発達しないからです。

これらの感覚や能力は、道徳教育や法律をつくることで、外から埋め込めるものでは決してありません。

本当にいじめを無くしたいなら

本当にいじめを無くしたいなら、「驚くべき数の子どもが、情緒的・心理的充足感(well-being)を持てずにおり、その決定的要因が子どもと親および教師(おとな)との関係の貧困さにある」と述べ、さらには「知的な人材教育偏重を改め、人間として成長発達出来るような教育制度とのバランスを取れ」と言う国連の勧告(2010年)を重く受け止めるべきです。

そして、身近なおとなが、目の前にいる子ども一人ひとりと真摯に向きあうことができるようによう、あらゆる仕組みを変えていくべきです。

こうした視点を持たない、いじめ防止対策推進法。そんな法律が、いじめの延長線上にあるスクールカーストが状態化した子どもたちの現状を救うことなどできないことは明らかです。

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Posted by 木附千晶