戦争がなくても平和じゃない(4/11)

2019年5月29日

このシリーズの最初の記事へ

ところで、この8月、今回の東京電力福島第一原子力発電所事故で放出されたセシウムの量が、広島に投下された原爆の168倍にもなることが報じられました。

これについて経済産業省原子力安全・保安院は、
「原爆は熱線、爆風、中性子線による影響があり、原発事故とは性質が大きく違う。影響を放出量で単純に比較するのは合理的でない」(『朝日新聞』8月27日)
と述べていますが、私のような素人にはその危険性がどの程度のものなのか分かりません。

確かに、ただ単純に「原爆より原発の方が影響が大きい」と言うのはうかつな気もします。

分からないからこそ怖い

でも、
「実際の危険性がどの程度あるのか分からないからこそ怖い」
というのが、原発の影響を大きく受けている地域の方々の思いなのではないでしょうか。

震災後に福島県郡山市を訪れたとき、「子どもたちに集団避難を!」と、郡山市を相手にした仮処分の申し立てについて聞く機会がありました(こちら)。

地元で聞いた話によると、郡山市では、今も1時間に1.02〜1.03マイクロシーベルトの空中放射線量が観測されているそうです。福島県の子どもの約45%に、甲状腺被爆も確認されています。(『朝日新聞』8月18日)

その事実が、今後、どんなふうに健康に影響してくるのかは、現時点では分かりません。国が言うとおり「問題ないレベル」なのかもしれませんし、「あまり問題のない人もいる」のかもしれません。

しかし、事故直後の情報が少ない中で「直ちに影響はない」と連呼した政府や学者たちの意見を信じ、最も放射線量が多かった時期に乳幼児を連れて何時間も外で給水車に並んだという母親に、今さら「国の示す安全基準を信じてください」と言われても、それは難しいように思いました。(続く…

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへにほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへにほんブログ村 メンタルヘルスブログ 臨床心理士へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ 生きづらさへ

Posted by 木附千晶