静かなる反乱(4/8)
東北地方太平洋沖大震災と、原発事故によって被災された方、大切な方が被災された方、そして被災された地域に心よりお見舞い申し上げます。
前回のブログを更新した後、あまりにもいろいろなことが起こりました。
更新したのはつい昨日のような気もしますし、もう遠い昔のような気持ちもします。
この2週間あまりのうちに、私たちの日常はとても大きく変わってしまいました。
ほとんど震災の影響は受けなかった地域でも、停電や放射性物質・放射能汚染の被害、それらを恐れての買い占めなどなど、さまざまな生活面、精神面での負担が広がっています。
恐ろしい津波や原発の映像を何度も見せられることによるダメージもあります。私のクライアントさんの中にも、繰り返される映像によって不眠や過覚醒、食欲不振などに陥っている方もおられます。
「助けて」が苦手な日本人
今回の震災と原発事故で胸が痛んだのは、「日本人は本当に『助けて』が苦手なんだなぁ」ということでした。
実はこの感想は、前回のブログに書いた鉄塔に登って自殺を図った方について思ったこととまったく同じものです。
2009年10月7日「クローズアップ現代」(NHK)は、「“助けて”と言えない〜いま30代に何が」という番組を放映しました。番組は、とくに30代に大きな反響を呼び、その後、本になりました(文藝春秋刊行)。
番組をつくるきっかけについて、NHK取材班は、「2009年4月、北九州市門司区の住宅で、便箋に「たすけて」という文字を残して、39歳の元飲食店従業員男性が餓死した。なぜ彼は、だれにも相談できないまま死んでいったのか。その答えを見つけたかった」(同書、6ページ)という趣旨のことを述べています。
「自己責任」に縛られて
ごく簡単に、本に登場する30代ホームレスの方や「明日は我が身」と案じる方たちの心境について触れたいと思います。
この本によると彼・彼女らを縛っているのは、小さな頃から植え付けられた「自己責任」という言葉でした。
番組に登場する路上生活を強いられた男性は
「何が悪いって自分が悪い。それ以外の言葉はないと思います。頑張りが足りなかった自分に活を入れれば良かったと思います」
と言い、ある女性は
「(略)女性も『自立』『何でも自分でこなす』『強くならなければいけない』助けてと言う強さをもてるなら苦労はしない」
と番組を見た感想をつづります。
また、他の女性は
「(略)自分がだめだから、もっと頑張れば、心に刺さります。迷惑をかけた、役に立っていない、そういう思いがつきまといます」
とブログで反応し、また別の女性は
「だれかを蹴落とさないと、自分が蹴落とされる社会。(略)目の前のことに追い込まれて、心を開くなんて思いつきもしなかった」
と記します(同書136〜140ページ)。
でも、こうつづる人々のだれひとり「怠けて」いたり、「サボって」いたりはしません。それどころか、就職氷河期、成果主義、リーマンショック、派遣切りの中で、これ以上ないほど頑張って頑張ってきた方々です。
そんな人たちが「自分の頑張りが足りない」のだから「助けてなんて言えない」と言うのです。(続く…)