真夏の怪(2/6)
5月頃からずっーと報道を独占していた力士による野球賭博問題も疑問がいっぱいでした。
70人近い親方や力士が賭博行為に関わっていたとされ、現役力士が解雇されるほどの事件へと発展しました。
でも、ちょっとまって。
ギャンブル依存の方とお会いすることも少なくない立場としては、どうもストンと腑に落ちないことがいろいろあります。
刑法では賭博は禁じられています。それなのに、どうして競馬やサッカーくじ、パチンコなどのギャンブルはOKなのに、野球賭博はダメなんでしょうか。
賭博の歴史に詳しいある学識経験者は、現在の賭博の在り方を批判しつつ「禁止の『健全な勤労意欲を失わせる』という理由に対し、公営ギャンブルは『国がコントロールしている』『ガス抜き的な娯楽の提供』からよいとされている」(『東京新聞』(2010年7月10日付け)と語っています。
また、公営ではないパチンコがグレーゾーンとして許されているのは、「警察の管理下にあるから」(同)だそう。
そんな説明を聞いて「ますますもって納得いかない」と思うのは、私だけでしょうか?
もっと言えば、日本政府が推奨し、政府のコントロールが効かないマネーゲームーー株式投資やデリバティブなどーーは、健全な勤労意欲を失わせるものとはカウントされないのでしょうか。
常笑野球はいいこと?
それから、常笑野球。埼玉県代表となった高校が有名? ですが、今年の夏の甲子園ではけっこうあちこちの高校が「常に笑う」プレーに取り組んでいたようです。
たぶん本来は「前向きに楽しみながら野球をしよう」という考えから生まれたのでしょう。その意見には大賛成です。
でも、ミスっても笑う、負けても笑顔というのは・・・どうでしょう。アナウンサーが「気持ちの良い笑顔」と、さかんに言っていましたが、私はどうも違和感を禁じ得ませんでした。
「うまくいけばはしゃぎ、楽しければ笑う」というのは人間として当然のふるまいです。そして、それと同じように「失敗したら悔しがり、負けたら泣く」のも当たり前。そのときの感情を適切に感じ、表現するということは、人が人らしく、健康に生きていくためにとても大切なことです。
カウンセリングの場で
これも、カウンセリングの場での話ですが、多くの方が「いつもポジティブでいたいんです」「つらい出来事があって落ち込んでいる自分をどうにかしたいんです」とおっしゃいます。
でも、それはかなりへんな話です。(続く…)