子どもの権利条約が生きた町(4/6)
例えば犬山で合った中学三年生の知子さん(仮名)のクラスでは、班を決めるのは子どもたち自身。出来る子だけ・出来ない子だけで固まらないよう話し合うので、かなり時間をかけて悩みながら決めるそうです。
計算は早いけど、漢字は苦手な子もいます。勉強はイマイチだけれど、みんなの意見をまとめるのが上手な子もいます。お互いのことをよく知らなければ、班決めはできません。
「小学校の頃からみんなバンバン発言することに慣れているから」(知子さん)、議論が白熱することもしばしばだそう。
知子さんは、班学習の効用をこんなふうに話します。
「苦手だった子でも同じ班になると自分との共通点が見えて仲良くなれたりする。クラスで浮いていた子も、班で助け合ってやっていくうちにいつの間にか他の子に合わせられるようになって浮かなくなる」
===
知子さんのクラスで班学習がよく行われるのは数学の授業。みんなで問題を解き、出来たら班長が先生に見せます。正解だったら、「あってたよ〜」と言って、分からない子に教えます。
「友達に教えると自分も勉強になるし、教えてもらうときは先生に言われるよりも素直に聞ける。何よりみんなで分かった方が楽しい。分からなくて取り残される子がいるのは可愛そう」(知子さん)
学校は楽しい
クラス全体で行う一斉授業のときも、頭から先生が教えることはまずありません。先生が出したテーマについて、みんな次々と意見を出していきます。
コの字型に机を並べた教室の真ん中に立った先生の役割は、たくさん出てくる意見を整理し、「どうしてそう思うの?」「他の意見は?」など、議論を深めるきっかけをつくるくらいです。
「意見がまとまりかけると、先生がそれをひっくりかえすような言葉をポンって出して、『う〜ん』ってまたみんなで考える。小学校の頃から『間違っちゃいけない』って雰囲気がない中で自由に発言してきたから、本当にたくさん意見が出る」(知子さん)
小学校時代、知子さんのクラスではみんな「自主勉ノート」をつくっていました。読んで字の如く「自主的に勉強してつくったノート」です。
子どもたちは、「明日はきっとこんなテーマで授業をするはず」と予測をたて、本やインターネットなどで調べて「自主勉ノート」にまとめて来ます。いわば、自主的な予習をしてくるのです。そして翌日はそのノートをもとに我先にと競って発言したのだそうです。
「強制されると嫌になるけど自分からする勉強は楽しい。部活は面白いし、友達はいるし、先生は話を聞いてくれる。学校に行くと落ち着く。たぶん『学校が楽しい』と思っている子はいっぱいいる」(知子さん)(続く…)