不誠実な政府(2/3)

2019年5月29日

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政府報告書の中身も大問題です。

たとえば、この間の子どもに関するもっとも重要な変化であった教育基本法の「改正」については「今まで同様、個人の尊厳を中心にしている」と簡単に記しただけ。報告書を提出にした国に対して、国連が改善点や努力点を示す勧告(日本には過去2回の勧告が出されています)については「前回の報告書を参照せよ」との回答が4割を占めています。

すでに提出した報告書に対する勧告への回答が「かつて提出した報告書を見よ」なのですから、本当にびっくりです。
NGOの代表は「これでは『条約実施の意思はない。現状を追随していく』と宣言しているようなもの」とあきれ顔でした。

また、女子差別撤廃条約など、ほかの人権条約の国連への提出も軒並み遅れています。そしてその内容も「女性の雇用環境は改善されてきている」など、現実否定もはなはだしいものです。

なぜ、こんなことになっているのでしょうか?

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条約反対派の意見も尊重

寝耳に水の報告書提出を受け、NGOの代表たちが外務省を訪れ、ことの経緯を質したところ、担当課長は明確な回答を避けながら、以下のような言葉を繰り返したそうです。

「いろいろNGOと平等に付き合わざるを得ないことも考慮して欲しい。海外ではNGOの立場が一致しているが、日本ではそうはなっていない。条約に反対するNGOとも平等に付き合う必要がある」

条約は、憲法に準ずる法律です。批准したからには、守る義務があります。人権条約の窓口機関である外務省にも、当然、「条約に賛成するNGOと協力してその実現に取り組む」責務があります。

ところが、担当課長の弁明、そして政府報告書提出の経緯を見るとそうはなっていません。

政治的な力の影響?

背景には、政治的な力が働いているように感じます。

ここ数年、「子どもの思いや願いなど無視してもいいんだ」と言わんばかりの道徳や規範を子どもに植え付ける法律や仕組みが整備されています。子どもの苦しさの象徴である不登校や暴力、自傷行為などは力で押さえつけようという人々が、大きな力を持ってきています。

こうした人々の中には、「子どもの権利条約を撤廃せよ」「報告書を提出するな」などと、公然と発言する人々もいます。
そして、「子どもに権利など与えたら、しつけができなくなってワガママになり、家族が崩壊する」との考え方がまかり通っています。(続く…

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