ポジティブシンキングの功罪(2/5)

2019年5月29日

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学生さんたちに臨床心理のお話をする機会を持っているのですが、症例を紹介すると「自分も精神疾患なのではないか。治療機関に通うべきか」という相談を持ちかけてくる方が、必ずと言っていいほどいます。

たとえば躁うつ病の症例を見て「自分も気持ちの浮き沈みがあるんです」と言ってこられたり、うつ病の症例では「気持ちが落ち込むことがあるのはうつ病なのでしょうか」とおっしゃられたりするのです。

個別の相談に乗れる状況ではないので細かいことはわかりませんが、聞ける範囲で「なぜそう思うのか?」を尋ねると、躁うつ病の方は「仲間といるときにはハイテンションなのに家にいるとそうではない」という話だったり、うつ病の方は「バイトが忙しくて眠る時間が取れず疲れている」など、気分が落ち込む原因がちゃんとあったりします。

ロールプレイの感想では

カウンセラー役とクライント役にわかれた学生さんたちに、カウンセリングのロールプレイをしてもらったときにも、ネガティブな感情を否定するかのような感想が寄せられました。

たとえば「相手が暗い感じだったので、自分も暗い雰囲気になってしまった」とか「話が盛り上がらなかった」とか、「明るい話題に持っていけなかった」とか・・・。

私がカウンセリングをさせていただいているときにも、明るい話題が登場することはありますし、クライアントさんと一緒に笑うことだってあります。とんでもなく辛い話を笑い飛ばすように話すクライアントさんもいますし、「もうその辛い出来事は過去のことで、あなたには乗り越える力があるし」などとお伝えするため、私のほうが意識的に明るい口調でお話することもあります。

明るく盛り上がらないとダメ?

だけれどたいがいの場合、クライアントさんは、つらい過去や、やりきれない今、長く続く悲しみや怒りなどのネガティブなことを表現されます。
当然、その場が盛り上がる雰囲気にならなかったり、暗い空気に包まれたり、明るく返すことができないときは多々あります。

でも、それは当たり前のこと。そもそも、だれかと話をするときに「明るく盛り上がればならない」という発想が、ちょっと違う気がします。(続く…

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Posted by 木附千晶