ポジティブシンキングの功罪(4/5)

2019年5月29日

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だれとでも楽しくコミュニケーションをと取って、過ぎたことはくよくよせず、問題があっても深くは考えずに、嫌なことがあっても笑って流す・・・。

一見、ポジティブで良さそうに感じますが、それは人として健康なことなのかと首をかしげてしまいます。

だいたいだれとでも楽しくコミュニケーションを取るなんて、できるはずがありません。「十人十色」という言葉があるように、ひとりひとり違った個性を持っています。それならば気が合う人、気が合わない人、なんとなく好感を持てる人、持てない人がいて当たり前です。

「だれとでも気が合う」ということは「どこにも特別な人がいない」ということとイコールです。どれでは人はいつまでたっても淋しさから抜け出せません。これでは依存症が増えるわけです。

身に迫る危険や不利益

過ぎたことをくよくよせず、問題があっても深く考えず、笑って流すというのも考えものです。

くよくよしたり、深く考えたりするから人は成長するのです。だから同じ過ちを犯さないように気をつけるし、自分らしい生き方を手に入れることができます。すべてを笑って流していたら、時代に振り回され、他者のいいように人生を操られてしまうかもしれません。

こうした風潮は、個人の問題だけに止まることではありません。社会全体、いえ世界中が、何も考えずに「前へ、前へ」と推し進められていくことで、さまざまな危険や不利益が私たちの身に迫っています。

世界に目を向ければ

世界に目を向ければ、戦争や暴力があふれています。二度の大戦という大きな犠牲を払った過ちを忘れ、命について深く考えないまま文明の利器を求めてきた私たちは、無人の殺人機が人を殺す事態まで招いてしまいました。

力で相手をねじ伏せる行為はいたちごっこです。最近、「ミサイル防衛費が1.5倍以上になった」という『東京新聞』(2月23日)に驚きましたが、暴力で立ち向かえば、相手はさらなる暴力で立ち向かってきます。

憎しみはどんどん増長し、いわゆるテロ行為を助長させます。(続く…

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Posted by 木附千晶