「がれきに埋もれた子どもを救え!」・・・国連からの画期的勧告(4)

 こんなふうに、がれきの下に埋もれ、消されてしまった日本の子どもたち。そんな子どもたちを蘇らせ、「きちんと成長発達できるように」と、今回、国連は画期的な勧告を日本政府に突きつけました。

 勧告(パラグラフ20a)は、次のように言います。

「子どもが、社会の競争的性質によって子ども期および発達を害されることなく子ども時代を享受できることを確保するための措置をとること」


成長発達権を真っ正面から取り上げた

 実は国連が、子どもの成長発達権を真っ正面から取り上げるのは、今回が初めてです。

 競争的な社会のなかで、子どもという存在が消えてしまうという緊急事態を受け、子どもがおとなとは異なる存在であることを認め、その子どもである時代の特徴が成長発達期であることを承認したのです。

 さらには、この成長発達権を子ども自らが実現するための力として12条意見表明権を認めました(パラグラフ22)。

 つまり、意見表明権を使って、子どもが、自分の思いや願いをありのままに出し、それを身近なおとなに受け止めてもらうことで、自らの成長発達の基盤となる安全基地をつくることこそが、子どもの権利条約の本質であると述べたのです。

 そして、これら成長発達権、意見表明権を保障し、実現するために、包括的な政策(パラグラフ8)、立法(パラグラフ7)、予算(パラグラフ10)による、子どもの解放を迫りました。
 詳しい解説を知りたい方は、ぜひCRC日本ブックレットNO.10『「子どもの権利」に関する第4・5 国連の勧告 全文と解説』をごらんください。

子どもの権利とは「愛されながら大きくなること」

 子どもの権利条約は、その前文で「人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で、幸福、愛情および理解ある雰囲気のなかで成長すべき」と宣言しています。

 こうした安全基地となるおとなとの関係性が、子どもの自己肯定感・基本的信頼感・共感能力をつくり出し、調和の取れた人格へと成長発達できるからです。

 子どもの権利とは、「愛されながら大きくなること!」。そんな関係性を保障するために、何ができるのか。どんな社会をつくっていくべきなのか。子どもを成長発達できなくしている社会の競争的性質をどうやって改めていくのか。

 今回の勧告は、私たち日本のおとなに問うています。

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Posted by 木附千晶