なぜ「子どもと家族」に注目するのか(2)
子どもの頃に「泣いたら周囲が手をさしのべてくれる」環境にいた人は、困ったことがあれば、「助けて」とSOSを発することが容易にできます。一方、「泣いてもだれも助けてくれない」経験を積み重ねていれば、「自分一人でどうにかしよう」とするでしょう。
SOSを発することができる人は、「いろいろな人がいるけれど、人間は基本的にはいい人だ」と考え、この世は安全だと思えるかもしれませんが、そうでない人にとっては、「周囲は敵だらけ」で、危険に満ちた場所だと感じられるでしょう。
そして、「自分を助けてくれる人などいない」と信じる「周囲は敵だらけ」の人は自分がだれかに愛され、守られるべき存在だと思えませんから、自分の価値を感じにくくなります。
対して、「周囲は助けてくれる」と思える人は、「自分は大切な存在である」と実感する機会が増えるでしょう。
子どもの頃に受け取ったもは大きい
カウンセリングの仕事をしていると、子どもの頃に家族から受け取ったものが「今のその人」に大きな影響を与えていると感じることが多々あります。
「自分はどうしてこんなについていないのだろう」
「私はいつも不幸になる」
そんなふうに嘆く多くの方が、小さいときに身に付けた人付き合いのパターンや、親などの身近なおとなとの関係のなかでつくりあげた自分自身への評価、親から継承した考え方や価値観などに縛られ、身動きが取れなくなっていることがあります。
そして、自分にとっては「その状態」があまりにも当たり前になってしまっているので、「『その状態』を変えられるとはとても思えない」ということもしばしばです。
生き方や不幸は修正可能
でも、その辛い生き方や不幸は、修正可能です。
あなたが知らずに繰り返してしまう不幸な人間関係のパターンはどんなものなか。あなたの辛さの根っこはどこにあるのか。これからどちらへ向かって進んでいけばいいのか。
「子どもと家族」の視点で振り返ってみることで、そのヒントが見えてくるはずです。