日本人の法感覚(2)
「憲法9条は守りたいけど人命救助や災害復旧のためには自衛隊が必要」という「憲法と自衛隊」をめぐる調査を目にするたびに、いつも思うのです。
「どうして人命救助や災害復旧をするために自衛隊が必要なのか?」と。
人命救助のための部隊は必要だけど
確かに10年くらい前から日本はとても多くの自然災害に見舞われています。以前なら「震度4」と聞けば「かなり強い地震」という印象を持ちましたが、最近では「震度5」のニュースを聞いても驚かなくなってしまいました。
あちこちで火山が噴火し、地震の規模は大きくなり、津波や原発への不安も続いています。
ゲリラ豪雨という言葉が普通になり、長雨や集中豪雨による土砂災害や川の急な増水などでもたくさんの人が犠牲になっています。
そんな災害が起こるたびに自衛隊が駆けつけ、多くの命を救ってきたことをもちろん私も知っています。人々を救う姿を見ては「こういうプロフェッショナルはやっぱり必要だな」と、いつも強く実感します。
なぜ「災害救助隊」ではいけないのか?
でも、それがなぜ「軍隊」でなければいけないのでしょうか? 災害現場に駆けつけて人命救助をするのなら「災害救助隊」があれば十分です。
「憲法9条は守りたいが人命救助や災害復旧のための特別部隊が必要」だというのなら、それに特化した訓練部隊をつくり、そのための法律をつくればいいのではないでしょうか。
災害における人命救助を目的にするのであれば、戦車や戦闘機など必要ありませんし、憲法9条ともケンカしません。
なのにどうして「人命救助や災害復旧のために自衛隊が必要」という話になるのか。本当に不思議です。
最高法規をコロコロ変えていい?
「日本を取り巻く安全環境の変化に対応するため」(54%)とか「プライバシー権や環境権など新しい権利を盛り込むべき」(16%)だから憲法改正が必要という話も、わかったようでよく分かりません。
憲法はその国の根幹を成す最高法規です。取り巻く環境が変化したから、新しい問題が生じたからと、その根本をコロコロと変えていいものなのでしょうか。
そうではなく、憲法に照らして環境を整えたり、周囲の国との関係を構築したり、憲法を使って新しい問題をどう解決すべきか考えていくことこそ、筋なのではないでしょうか。