生育歴が無視される裁判員制度(2/9)

2019年5月29日

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世界でもまれな、被疑者の人間性を無視した代用監獄の存在は、国連からも批判されています。
代用監獄で被疑者がどのように扱われるか、興味のある方は東京弁護士会のサイトをご覧ください。

ご一読いただければ、なぜ代用監獄が国連から批判されるのか、なぜ被疑者が嘘の自白までしてそこから出たいとまで思うのか、おわかりになるかと思います。

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次回の開廷まで時間がかかる理由

こうした代用監獄に被疑者を押し込め、警察・検察側に有利な証言を引き出すまで超時間にわたる取り調べができるうえ、捜査権限も持つ警察・検察側に対して、弁護側は圧倒的に不利です。

一般市民は、警察に協力するようには弁護側には協力してくれませんし、被疑者との面会さえも制約されます。当然、弁護側が手にする情報は検察側に比べて、かなり少ないものになります。

弁護側は、そうした状況下で検察側の作成した膨大な調書(事件によっては、段ボール箱何箱にも及ぶ調書になることもあります!)を読み、反証する材料を見つけていかなければなりません。どうしてもある程度の時間が必要になります。

次の開廷まで間隔が空いてしまい、事件によっては判決まで長い年月がかかってしまうのも、無理はありません。

日本の刑事裁判が抱える根本的問題

膨大な調書が引き起こす問題は、開廷の間隔が空いてしまうというだけではありません。

裁判官が次の開廷までの期間に「法廷外で、検察側が作成した調書を読まざるを得ない」ことも、見逃せない問題です。

これによって、裁判官が公開の場である法廷内での直接的なやりとりよりも、法廷外(密室)で読んだ調書によって心証を形成し、その影響を受けた裁判・判決につながることが少なくないからです。

だから、検察側の膨大な調書作成が引き起こす
1)被疑者の長期勾留による「自白の強要」、「虚偽の自白」
2)開廷間隔の長期化
3)裁判官が法廷外で心証を形成してしまうこと
は、長年、日本の刑事裁判が抱える問題点とされてきました。

不思議な司法制度改革

それならば、諸悪の根源である代用監獄を無くし、警察・検察側が「いったん起訴されると有罪率がほぼ100%」にもなるような取り調べをできないようにすればいいと思いますが、不思議なことに司法制度改革審議会の専門家の方々は、そうは考えなかったようです。

そして、いつの間にか根本的な議論は置き去りにされ、問題がすり替えられました。そう、前回、このブログで書いたように、「国民が裁判官とともに広くその責任を分担するための仕組みが必要」という話になってしまったのです。

こうして、相変わらず代用監獄は残されたまま、「司法の迅速化」を図り、「裁判を民主化する」(「国民の意見を裁判に反映させる」「刑事司法を開かれたものにする」)として、裁判員制度の導入が決定されました。(このシリーズの最初の記事へ

“>続く…)

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