少年法の精神はどこに?ー『絶歌』をめぐる騒動から考えるー(1/3)
2015年2月、神奈川県川崎市の多摩川河川敷で中学1年の男子生徒が殺害され、遺棄されるという痛ましい事件がありました。
その1週間後に加害者とされる18~17歳の少年3名が殺人容疑で逮捕されると、成立が目前だった18歳選挙権と呼応して「成人年齢を下げるのなら、少年法の対象年齢も下げるべき」と少年法の厳罰化議論が再燃しました。
それについては、以前、このブログ(「機能不全社会(6)」)で書いたので、そちらをご覧ください。
元少年Aの有料ブログが凍結
このようなことがあるたびに「少年法の精神はどこにいってしまったのだろう」と暗澹たる気持ちになるのですが、つい先日もそのことを強く感じることがありました。
きっかけは、「元少年Aとされる人物が始めたインターネットでの有料配信サービスがブログ運営もとに凍結され、閲覧できなくなった」というネット上のニュースをたまたま見たことです(「元少年A」の有料ブロマガが凍結 アクセス不能に)。
元少年Aとは、言わずと知れた酒鬼薔薇(聖斗)事件の加害者男性のことです。当時14歳だった加害者男性は報道上、「少年A」の名で呼ばれました。
酒鬼薔薇(聖斗)事件とは
では、その酒鬼薔薇(聖斗)事件とはどんな事件だったのか。ざっとおさらいしておくと1997年に兵庫県神戸市で小学生を襲い、2名を死亡させ、3名に重軽傷を負わせた事件です。
正式には神戸連続児童殺傷事件と言いますが、当時、14歳だった加害者男性が「酒鬼薔薇聖斗」の名で犯行声明文を書いたことから、酒鬼薔薇(聖斗)事件と呼ばれてきました。
今年8月にはその加害者男性(以下、男性)が8月には公式ホームページを立ち上げ、そのことを女性週刊誌に知らせたことが話題になっていました。(続く…)