機能不全社会(6/10)

2019年5月29日

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前にこのブログでもご紹介しましたが、『バッド・マザーの神話』(誠信書房)という本を書いたアメリカの臨床家・ジェーンスウィガートは、こんな指摘をしています。

「私たち(おとな)の行動が真に破壊的になると、子どもたちはギョッとするような悲劇的なやり方で警告してくれます。ティーンエイジャーの自殺やうつ病、暴力事件の増加や学校における不法な薬物の蔓延などで、このような現象は低年齢化し、いまは思春期前の子どもの間にまで広がってきています。子どもたちの行動の意味するところや子育ての心理的な現実を探ることによって、私たちの病める時代が抱える病弊のより深い意味を理解することができるのです」(307頁/引用冒頭の(おとな)は筆者が加筆)

川崎の中学一男子殺害事件

このスウィガートによる「子どもがびっくりするような事件を起こす原因は私たちおとなとその社会にあるのだ」という指摘を思い出さずにはいられない事件があります。

2月に起きた川崎市の多摩川河川敷で中学1年の男子が殺害された事件です。

新聞などは、加害者は18~17歳の少年。当日、加害少年らは男子を真冬の川で全裸で泳がせたうえ、カッターナイフで切りつけるなどの暴行を加え、死亡させたと報道しています。

その後、男子は以前からリーダ格の加害少年によって暴行を受けていたこと、「殺されるかもしれない」ともらしていたこと、顔に殴られたような痣があったことなども、明らかになりました。

少年法厳罰化の議論も再燃

事件後、ネット上には、男子だけでなく、加害少年らの名前や住所、顔写真、生い立ちなどまでが赤裸々に暴露されています。
そして、こうした事件があるたびに繰り返されていることですが、加害少年を一方的に責め、さらには少年法の厳罰化が再び議論になっています。

折しも、今国会には自民、民主、維新、公明、次世代、生活の6党によって、選挙権の年齢を「十八歳以上」へと引き下げる公選法の改正案が提案されています。「18歳は十分におとな」という、成人年齢の引き下げと合わせた議論になっているのです。(続く…

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Posted by 木附千晶