四角いスイカ(4/7)

2019年5月29日

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「公平」という言葉の意味もなんだかよく分からなくなりそうですが、少なくとも当時、こうした藤原氏を国やマスコミがこぞって応援しました。

国は、和田中学校運営協議会に文部科学省の役人を送り込んだり、藤原氏創始の「よのなか科」などを広める民間企業を新教育愛初プログラムに指定するなどしました。

天下の『朝日新聞』は、「公教育の建前を並べるだけでは、学力をめぐる保護者の焦りは消えない。お金のかかる私立校や塾が現にあるのだから、ここは塾に行けない子への福音と考えたい」(2008年1月9日付け「天声人語」)とまで書いています。

驚くほどの“集客ぶり”

こうした宣伝が功を奏したのか、私が取材した翌年(2009年)の和田中への入学希望者は100人を超え、隣接する中学校の約30人を引き離すほどの“集客ぶり”でした。

その頃、話をうかがった杉並区で子育てをしている保護者の方たちのこんな意見が印象に残っています。

「『夜スペ』は反対だけど、大学に行けないと正社員になれず、結婚もできない。そんな思いを子どもにさせたくないから『とりあえず和田中へ』と思ってしまう」

競争・格差教育をさらに定着させる

非正規社員が増え、低所得から抜け出せず、結婚をあきらめる若者の存在が話題になるなか、この将来を憂う親の不安は深刻です。

そんな親心を利用して経済界や国は競争教育を後押してきました。藤原氏のような人物が説く似非の「公平な教育」を広め、「お金が無くてもきちんと勉強が身につく」と喧伝し、公教育に民間企業が入っていく道を広げました。

そもそもお金がなければ質のよい教育が受けられないという「公教育だけで勉強が身につかない教育システム」や「塾に行かねば競争に勝てないような受験体制」にこそ問題があるはずなのに、藤原氏や彼の主張を後押しする人たちには、そういった視点はありません。

こうした企業の論理に乗っかった教育を是とすることは「競争によって生じた格差は正当」と認めることになり、結果として競争・格差教育をさらに定着させるだけなのに、その問題点を指摘する声もほとんど上がりませんでした。(続く…

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