機能不全社会(1/10)
新年あけましておめでとうございます。
松も取れ、鏡開きも終わり、お正月気分も抜けてすっかり「日常」に戻ってしまった感もありますが、おくればせながらご挨拶申し上げます。
9年目を向かえる「カウンセラー木附が語る子どもと社会」を今年もどうぞよろしくお願いいたします。
毎年、新年になると「今年こそは良い年になりますように」と願っています。お参りに行ったときには「あらゆる命が幸せに生きられる1年になりますように」と必ず、願をかけます。
でも現実には、毎年毎年、どんどんだれもが生きづらい社会、子育てしにくい社会になっている感が否めません。
機能不全家族とは
少し話がずれるようですが、家族内に対立や不和、別離や暴力、依存症などなど、さまざまな問題があるために、家族らしい団らんや家庭的な暖かさ、安全基地としての役割が欠如してしまっている家族。
そのために、子どもが安心して親を頼ったり、甘えたり、わがままを言ったり、ぐずったりなどの「子どもらしい」時代を過ごすことができなくなってしまっている家族。
そんな家族のことを「機能不全家族」と呼ぶことは、みなさんもよくご存じでしょう。
先日、大学生たちにこの「機能不全家族」の定義を話したところ、次のような多くの驚きが寄せられました。
「わがままを言うのはよくないこと」
「親に頼らないのはいいことではないか」
「夫婦の不和や単身赴任による別離なんていくらでもある」
「そんなことを言ったら、世の中は『機能不全家族』だらけになってしまう」
などです。
日本の多くの家族は機能不全
そう、このブログを読んでくださっているみなさんは、すでにお分かりのことと思いますが、実は日本全体を見渡したときに「機能不全家族」はけっして少なくなくありません。
臨床心理学者で多くの著書がある西尾和美氏は、著書『機能不全家族 「親」になりきれない親たち』講談社プラスアルファ文庫)において、「日本の家族の80パーセントが機能不全」という衝撃的な指摘をしています。(続く…)