機能不全社会(3/10)

2019年5月29日

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優しさや安全感が欠如し、人間が“人間らしく”生きることができないような社会になってしまっていることは、日々のニュースを見ていてもひしひしと感じます。

安倍首相にはその認識は無いようですが、一般的な感覚から言えば所得格差の広がりはどう考えても拡大しています。

その大きな要因となっているのが、非正規労働者の増加です。兼業主婦によるパートやアルバイトを含む数字ではありますが、最近の統計では労働者のやく4割が非正規雇用にあたるそうです。
(参照元:パートやアルバイトは増加継続…非正規社員の現状をグラフ化してみる(2015年)(最新) – ガベージニュース

こうしたなかで、政府が1月に閣議決定した2015年度予算案では生活保護費が削減され、介護報酬の総額が引き下げられるなど、低所得者への対策は後退しています。一般庶民の立場から言えば、「デフレからの脱却」というよりも、「物価の上昇」が生活を圧迫しはじめています。

戦争への道?

低所得者層への支援が減る一方、公共事業費や防衛費は増えています。

集団的自衛権の行使容認や歴代政権が守ってきた「武器輸出三原則」に代わって昨年4月に策定された「防衛装備移転三原則」との関連でとくに気になるのは、三年連続増加している防衛予算です。今年度はなんと過去最高額の4兆9801億円となっています。

一方で、政権の基地政策に反対する翁長雄志知事が当選した沖縄の振興予算は前年度から162億円の減でした(データはいずれも『東京新聞』2015年1月15日)。

「積極的平和主義」とか「人道支援」と言えば聞こえはいいですが、こうして軍事産業の育成や拡大をうながし、戦争への道を着々と歩んでいるように見えてしまいます。

優しさや安心感とは反対の方向へ

「そこまで言うのはオーバーだ」とおっしゃる方もいるかもしれません。でも、少なくとも今、日本が進んでいる道は、優しさやさ安心感をもたらす社会とは反対方向のように見えます。

そして、私たち人類が幾度となく繰り返されてきた戦いの歴史のなかで、数多の犠牲を払って学んできた「戦争(武力)は不幸な人を増やすだけだ」という事実に背を向け、「経済発展を続けるためには戦争(武力)は必要だし、多少の犠牲はやむを得ない」という考えにシフトしつつあるように感じます。(続く…

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Posted by 木附千晶