機能不全社会(2/10)

2019年5月29日

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もし、日本の家族の80%が、機能不全に陥ってるのだとしたら、今、世の中を生きているほとんどのおとなはアダルトチルドレン(AC)ということになります。

多くの人が、「自分には価値がない」と思っていたり、 人の目(評価)を異常に気にしたり、必要以上に「完璧でなければならぬ」と思っていたり、いつも対人関係にトラブルを来してしまったりする「生きづらい」人間であるということです。

もし、こういう人たちが本当に増えているのだとしたら、それはもう「家族がうまく機能していない」というレベルでの問題ではありません。

その家族が所属する社会に問題があるということではないでしょうか。


「生きづらい」日本

私たちの社会は、「ひとりひとりの人間が豊かで幸せに生きることができる」社会を目指して発展してきたはずです。

そのためには、もちろん、経済的な豊かさや便利さ、文明の発展も必要でしょう。
でも、それだけでは決して幸せにはなれないことは、世界的に見れば豊かな国に入る日本での、自殺者や精神疾患の推移を見れば分かります。

毎年3万人前後が自殺していること、15~39歳という若い世代での死因トップが自殺であること、自殺との関連が指摘されている「うつ」が増加し、1996年には国内で43万3000人だったうつ病など気分障害の患者数が2008年には104万1000人になっています。
(データは内閣府の『自殺対策白書』や厚生労働省『患者調査』等より)

これは先進国であるはずの日本で多くの人が「生きづらい」と感じている証拠です。

優しさや安全感が欠如した社会

こうした「生きづらい」社会になっているということは、社会に暴力や対立、競争や憎しみなどがはびこり、人間が幸せに生きていくための優しさや安全感が欠如してしまっているということです。

つまり、社会が「ひとりひとりの人間が豊かで幸せに生きることができる」という方向から大きく外れ、家族が暖かいものを家族内の者に提供することができず、人間が“人間らしく”生きることができないような、機能不全の社会になってしまっているということではないでしょうか。(続く…

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Posted by 木附千晶