遺族を訴訟に追い込んだ大川小学校事故検証委員会(2/7)

2019年5月29日

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大川小事故検証委員会は、石巻市の依頼を受けた第三者機関として2013年1月に活動を開始しました。

委員会発足当初、付いた予算は当初2,000万円。しかし、2014年8 月の補正予算で審議のないまま3,700万円上乗せされ、合計5700万円ものお金が投じられました。

そんな委員会には遺族の思いや願いに誠実に応える義務がありました。

なぜなら、本来、最も真実を明らかにする義務があるはずの石巻市教育委員会は、

①遺族説明会を開かない
②だれよりも真実を知っているはずであるただひとり生き残った教師を「病気休職中」として表に出さない
③最初の段階で聴取した子どもの証言を改ざん・隠蔽し、重要な証拠となるはずの聞き取り時メモを廃棄する

など、不誠実な対応を重ねてきたからです。

設置段階から誤った検証委員会

重要な責務を負って発足した検証委でしたが、まず設置段階から道を誤りました。

「中立性を保つ」との理由で委員の人選は文科省が行ったのですが、「市や県の教委と結びつきの深い人物は入れないで欲しい」「遺族も検証に加わりたい」などの遺族の要望はまったく聞き入れてもらえませんでした。

石巻市の受注先であり、委員会の事務局を担う株式会社社会安全研究所の代表と。委員会のメンバーである委員のひとりが実の親子であることも疑問視されましたが、文科省は押し切りました。

委員会の設置要項には「目的」が無く、「だれのために何を検証するのか」も不明確なまま検証はスタートしたため、当然、検証は「ゼロベースから」行われるしかありませんでした。

そのため、遺族が必死で集めた重要な証拠のほとんどが、検証に活かされませんでした。

たとえば遺族が「子どもたちは日常的に裏山に登っていた」証拠として震災前年に撮影した裏山で写生をしている写真を提出しても、1999年から2010年に大川小学校勤務験者へのアンケート等から「教職員は裏山は危険と認識していた」と、結論付けました。
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続く…

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Posted by 木附千晶