感情を失った時代(8/10)

2019年5月29日

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感情を失った人びとが、この日本社会を席巻していることは昨今の政治状況や政策を見ていても明らかです。

そうでなければ、放射線によって少なくとも今後4年は帰還できない住民が約5万4千人にも上るというのに(『朝日新聞』3月10日)、平気で原発再稼働などと言えるはずがありません。

住居さえ確保できず、先の見えない生活を送る人びとへの手当を後回しにして、老朽化した道路や橋の再築・修復、学校の耐震補強などを進められるはずがありません。

被災者の生活は置き去り

「経済成長最優先」と言ってはばからない安倍政権下では、公共事業や防衛費に多額の予算が付く一方、東日本大震災で被災した人びとの生活を支えるために制定されたはずの「子ども・被災者支援法」にはまったく予算が付かず、その基本方針さえ示されないままです。

東日本大震災被災者の住宅再建事業も進まず、宮城県では2015年度末になっても計画の約7割しか公営住宅を確保できない見通しで、原発事故による避難区域のある福島では必要な戸数さえも整理できないままで整備計画すら示せずにいます(『東京新聞』3月10日)。

人口流出が深刻化

大企業が請け負う事業には大きく予算が付く一方で、被災した中小企業を支援する「中小企業グループ補助事業」の予算は昨年度当初の半額である250億円に減らされました(『東京新聞』2013年2月10日)。
これでは地元企業の再建は進まず、農業や漁業もダメージを受けたまま。雇用不安が深刻化するばかりです。

菅直人元首相の肝いりで2010年4月にスタートした復興構想会議も、中間提言を出したものの同年11月には解散となり、被災地の復旧・復興は進まず、元の地域での再建を諦めて他の場所へと移転する人口流出が深刻な課題になっているとも言います(自治体の人口流出 危機が現実に)。

無人の浜に巨大防潮堤

そんな状況なのに、宮城県石巻市白浜地区の無人の浜には、建設費約45億円を投じて高さ8.4メートルの大防潮堤が1.3キロにわたる建設が予定されているといいます。

この防波堤を取り上げた『東京新聞』(2013年3月7日)の記事では、地元の自営業の男性が「住宅地を守るためならともかく、誰も住まないような空き地に、なぜ巨大な防波堤を作る必要があるのか。何十億円もかけてコンクリートの壁を築く意味が分からない」と憤る声を取り上げています。

また、この男性は、昨年5月に環境省が被災した沿岸部の国立公園や国定公園などを再編して三陸海岸一帯を国立公園化するという「三陸復興国立公園」(仮称)構想について、「巨大コンクリートで海も見えない国立公園なんてバカみたいだ」とも語っています。(続く…

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