「子どもの貧困」の何が問題か(6/7)

2019年5月29日

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さらに「『子どもの貧困』の何が問題か」(1)でも紹介した国連へのNGOレポートには、

「私立から公立中学校に編入してきたAくんは、部活動の時間になると手のしびれや吐き気を訴え、保健室に来る。それを受け入れられない母親は『部活の顧問は問題教師』『指導の仕方が間違っている』とクレーマーと化し、やがてAくんは教室にも行かれなくなった。それでもバブル世代の母親は、『私学から落ちこぼれたという挫折感を持ったうえに、部活動まで続けられないなんて“負け犬”』と“励まし”続けている」

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「『朝食を食べよう』とスローガンを掲げても、つくってくれる親がいない、冷蔵庫は空っぽという子も多い。消費社会に組み込まれた親は、教育費や豪華なマンション、新車などのために必要以上に働いて、食事をつくる時間さえなくなっている」

「(岡山県のあるドクターが関わっている各高校には)半数は寂しさを訴える子どもがおり、親や先生に喜んでもらえるように頑張っている子が、自分の居場所が無いと寂しさを感じている。男の子は彼女をコントロールすることで不安や恐怖を解消し、女の子の側はそれに従うことが孤独にならない一番安定した関係だと思っており、それがデートDVなどの原因になっている」

「子どもをベビーカーに乗せっぱなしで、自分は携帯電話に夢中だったり、子どもの問いかけを無視しても平気。子育て広場に来ても、子どもに見向きもせずママ友だちとのおしゃべりに余念が無い。子どもを泣かせないよう、すぐにおしゃぶりを与えおとなしくさせ、子どもの泣きたい気持ちにより添ったり、一緒に困るという体験を避ける」

などなど、けして「貧困」ではないけれども、子どもが幸せに育っているとは思えない現状も多々寄せられています。

国連審査に向けて

こうした現実の中で、私たちのNGOは国連審査に向け、どこに焦点を絞って訴えるべきかをずっと話し合ってきました。

「貧困」「格差」が、見逃せないところまで来ていることは重々承知ですが、それでも世界の多くの国々に比べれば、日本はまだまだ豊かな国です。

飢餓や戦争に喘ぐ国。買春や子どもの労働者搾取が横行する国 。学校も病院も食料もない国々から多くのレポートが寄せられる国連で、「日本の子どもの問題は貧困なんです」と訴えることが、果たして有効なことなのかということを何度も議論してきました。

そして、そのやり方では、「『貧困』ではないけれども、『貧困をもたらすような競争・格差社会』で幸せに生きられない子どもたちが取りこぼされ、根強く残る『経済的に豊かであれば子どもは幸せなはずだ』という考え方に取り込まれてしまうのではないか」という結論に達しました。(続く…

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