地域の再生と地域猫(2/8)
その猫は、駅前の商店街で暮らしている三毛猫(女の子)。
商店街の人々や通行人がご飯をあげ、雨宿りの場所を提供し、避妊をし、かれこれ10数年、そこで暮らしています。いわゆる「地域猫」です。
駅前開発や店主の引退などでかわいがってくれていた人が去っても、また別にかわいがってくれる人を見つけては、地域猫としてたくましく生きてきました。
だれが付けた名前か分かりませんが、みんな「ミーちゃん」と呼んでいます。
人間で言えば、おそらくもう70歳くらい。かつて交通事故に遭ったため、左前足が内側に曲がっています。
でも、まだまだ元気。ものすごい早さで駐車場を走ったり、フェンス越えもなんのそので自由に動き回っています。食欲も旺盛で、いつも通る人に向かって「ごは〜ん、ごは〜ん」と鳴いています。
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大きな受難
10年以上もそこで暮らし、いるのが当たり前だったミーちゃん。もうすっかり風景に溶け込だようになっていましたが、今年になってその存在感を知らしめる出来事が起きました。大きな受難に遭遇したのです。
それは4月のあたまのことでした。何者かがミーちゃんを捕まえ、遠くの公園に捨てたのです。たまたま見かけていたずら心が動いたのか、それとも故意に狙ったのか。それはいまだに分かりません。
とにかくミーちゃんをかわいがっている人のお店がすべて休みの日の出来事でした。
最初に異変に気づいたのは、最近、メインで世話をしている美容院の経営者でした。かつてミーちゃんをとてもかわいがっていた小料理屋さんが閉店して1年あまり。その美容院には、ほぼ毎日ご飯を食べに来ていました。台風や雷の晩には、店に泊まったりもしていました。それなのに休日明けから4日たっても姿が見えなかったのです。(続く…)