子どもの「うつ」と「あきらめ」(1/4)
「10代の自殺者急増」
そんな新聞記事を読んだのは今年6月のことでした。
『東京新聞』(07年6月8日付)によると、埼玉県内全体の自殺者数は昨年よりやや減ったものの、10代と20代は増加。10代では17人増えて49人、20代は4人増えて199人になったそうです。
しかもこれらの年代では、精神的な疾患など健康問題がその理由となっていることが多いと記されていました。
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増える中学生のうつ
10代、とりわけ中学生にうつが増加していることは、近年の調査でたびたび指摘されています。
たとえば今年5月に厚生労働省の研究班が発表した調査結果では、中学生の25%がうつ状態でした。
この調査は、静岡県内の公立中学校1〜3年生約600人を対象に、「生きていても仕方ないと思う」「独りぼっちの気がする」など18項目を質問し、その回答を「いつもそうだ」「ときどきそうだ」「そんなことはない」の三択から選んでもらうというやり方でした。
また、この10月に北海道大学の研究チームが発表した県内の小学4年生〜中学1年生約740人を対象とした調査では学年が上がるほどに、うつと診断された子どもの割合が高くなり、中学生では約1割という結果になっています。こちらの調査は、医師の面接という手法で行われました。
かつて北海道や九州で中学生に同様の調査をした際にも、似たような数値を示したという話もあります(『J-CASTニュース』07年5月20日付)が、一方でどの調査も対象とした人数が少ないため、「どの程度信憑性があるのか分からない」という批判もあります。
しかし、私が出合った子どもたちの印象をもとに、私的な意見を言わせてもらえば「10代のうつは間違いなく増えている」と思います。(続く…)