家族のかたち(5/6)

2021年1月31日

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image070305.jpg「家族神話」の呪縛

子どもと家族を応援すること大賛成ですが、「家族のなかみ」を考えることなく「家族、この素晴らしきもの」と言い切ってしまうことには、違和感を覚えずにはいられません。

確かに、
「お父さんとお母さんと子どもがいて、おじいちゃんもおばあちゃんも含めてみんな家族だ」
と思えるような家庭で子どもが育つことは理想的かもしれません。子どもが
「そういう家族が仲良く暮らすのが一番幸せだ」
と思えるような家族に囲まれて暮らすことができれば、とてもいいでしょう。

===
でも、それはあくまでも結果論です。家族が互いを尊重しあい、愛し合い、支え合っている家庭で育った子どもが成長し、自然に感じるようになることです。
間違っても、
「おとなが子どもに教え、守り伝えていく価値観」
などではありません。わざわざ教え込まなくても、そうした家庭で育った子どもは「家族は素晴らしい」と思っています。

そもそも子どもが親を否定するということは、本当に難しいものです。
自分を殴り、無視し、思い通りに操ろうとする親のことさえ、一生懸命に「愛そう」「愛されよう」とします。
性的な虐待を受けていても、
「自分は特別あつかいされているのだ」
と、親の言動を肯定的に解釈しようとすることさえあります。

おとなになってからもこうした「家族神話」からは、なかなか抜け出すことはできません。親が自分にしたことを客観的に受け止め、事実を受け入れることは容易ではないのです。
「いい親であって欲しい」
「自分がもっと良い子だったら親はちゃんと愛してくれたはずだ」
「親は自分を愛しているからこそ、ああいう態度をとったのだ」
・・・そんないくつもの幻想が私たちを縛っています。
そして「家族がいちばん大事」「親孝行こそすべきこと」「血は水より濃い」・・・そんな多くの呪文が、私たちの周囲を取り巻いています。

私たちの魂にまで染みこんだ幻想や呪文に気づかぬままでいた場合、私たちは自分の子どもにも自分が親からされたように接し、子どもにも自分と同じ価値観を持つよう強制し、知らず知らずのうちに「家族神話」の信奉者にしてしまいます。
親から受け取った“負の文化”をそのまま子どもにわたしてしまうのです。

ただでさえそうなのですから、価値観として「家族はいいものだ」と子どもに教え込むなどというのは、とんでもないことです。(続く…

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Posted by 木附千晶