家族のかたち(1/6)
「フィリピン ベッドタイム ストーリーズ」という芝居を観ました。フィリピンの演劇人と交流を重ねてきた日本の劇団・燐光群が両国スタッフ共同で創り上げた作品です。
2004年から続いてきた「フィリピン ベッドタイム ストーリーズ」シリーズの第三弾にあたるもので、5つのショート・ストーリーから構成されていました。
日本語・タガログ語・英語が混在したセリフ(舞台の両サイドに字幕モニターが用意されていました)と、ベッドルームから見えるフィリピンと日本における現代社会の問題を浮き彫りにしているところが特徴です。
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ベッドルームを舞台としているだけに、5つのストーリーとも性的な色彩の濃いものになっていました。
例えば、
1)売春や社会階級をテーマにした「ドゥルセの胸に1000の詩を」
2)既婚の女性実業家と部下の不倫を扱った「離れられない」
3)妻子ある男性との恋いに破れ、男性に裏切られたショックから胎児の血をすする吸血鬼と化してしまう女性の悲劇「アスワン〜フィリピン吸血鬼の誕生〜」
などです。
いずれのショート・ストーリーも社会の影にうごめく男女の性の世界を表現しているようでいて、「公に認知された性的関係を持つ男女」(家族)の抱える矛盾が浮かび上がって見える。そんな興味深いストーリーばかりでした。(続く…)