道徳や説教で子どもが救えるか?(4/4)
2019年5月29日
心は現実世界の体験の結果として出来上がるものです。たとえどんなに「正しい」ことであっても、その体験がないことを教え込むことはできません。「命を絶ってはいけない」と倫理を説かれても、「命の素晴らしさ」が実感できなければ、自殺を思いとどまることは出来ないのです。
同じように、子どもの声を聞く余裕などまったくない現実を顧みようともせず、「子どもの声を聞き、子どもが相談できるようにしてください」と保護者に説いたり、「子どもたちを見つめてください」と教員に諭すことが、どれほどの意味を持つでしょう。
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また95年当時の「いじめ撲滅」の結果を見るとき、「一丸となって、いじめのない学校づくりを進めてください」と学校長に訴えることが果たして有効と思えるでしょうか。
大切なことは、他のあらゆる暴力を完全に無くすことが困難であるように、「いじめを撲滅することはきっとできない」という事実をきちんと見すえることです。そのうえで、「どうしたらいじめを減らすことが出来るのか」を考えていくことです。そして、何より子どもが「命の素晴らしさ」を感じ、いじめられたときはすぐに助けを求められるような環境を整えることなのです。
次回は、子どもたちが「命の素晴らしさ」を実感できず、助けを求められない現実について、具体的に書いていきたいと思います。
Posted by 木附千晶
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