児童相談所は子どもを守る最後の砦か(1/8)
8月はじめ、全国の児童相談所が2013年度に対応した児童虐待の件数は7万件を突破したというニュースがありました。(速報値)これで、23年連続で過去最多を更新したことになります。
衝撃的な二つの事件
昨年から今年にかけては、虐待された子どもの白骨化した遺体が見つかるという衝撃的な事件もあり、日本社会に大きな衝撃を与えました。
ひとつは2013年4月に、神奈川県横浜市の雑木林から女の子(当時6歳)の遺体が発見され、「虐待死させたうえ死体を埋めた」として母親と同居していた男性が逮捕された事件。
もうひとつは、2014年5月、神奈川県厚木市のアパートで、男の子(当時5歳)が白骨化した遺体で見つかり、「十分な食事を与えず男児を衰弱死させた」と父親が逮捕される事件です。
女の子については、遺体発見の前年に横浜市中央児童相談所が「虐待の疑いがある」との通告を受けていました。また、男の子は乳幼児検診を受けておらず、3歳時には自宅近くを裸足でうろついているところを厚木児童相談所に一時保護されていました。
そして、どちらの子どもも小学校に通っていませんでした。
厚生労働省が実態把握へ
虐待防止に向け、厚生労働省は2014年5月1日現在で学校に通っていなかったり、乳幼児検診を受けていなかったりする子どもの実態把握に乗り出し、全国の市区町村に保護者や子どもと連絡がとれない18歳未満の子どもの数を報告するよう求めました。
さらに、『朝日新聞』の独自調査によると、少なくとも30都道府県で1588人の子どもの所在が不明だといいます(『朝日新聞』2014年7月29日)。また、厚生労働省は10年度から12年度の3年間で親が子どもを置き去りにしたケースが667件あったとも発表しました。
虐待は本当に増えた?
本当に虐待が増えているのでしょうか? 「注目されるようになったから、対応件数が増えただけ」という見方をする人もいます。また、「以前は『しつけ』と思われて、見過ごされていたものまでが虐待とみなされるようになったから」という意見も聞きます。(続く…)