福祉から遠い国(5/8)

2019年5月29日

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本来、負担を強いられた国民の怒りの矛先は、こうした社会構造をつくり、維持している人々(強者)へと向けられるべきですが、なかなかそうはなりません。

ひとつつまずけば、すぐにも転げ落ちてしまう「すべり台社会」において、必死で手すりにしがみつき、それでも上を目指すことを強いられる世の中において、表に出せない鬱積した不満や怒りは、それをぶつけやすい弱い立場の人々へと向かいがちです。

そして、強者は、その流れをつくるための仕掛けを用意することを怠りません。

ヒステリックな河本バッシング

たとえば最近、人気お笑い芸人の河本準一さんの母親の年金受給問題が大きく取りざたされました。

河本さんによれば、「自分の生活が苦しかった時代に母親が生活保護申請をしており、売れてからは母親への援助額を増やしたものの、年金の受給そのものが問題だという認識はなかった」とのこと(『毎日新聞』2012年5月29日)。

もしそれが真実であるとするならば、責任を問われるべきは、きちんと受給者の生活環境や家族関係を把握せず、民法上の扶養義務規定を説明しなかった福祉事務所側のはずです。

母親との関係も良好なのに、売れっ子芸人になった後も母親を扶養しなかったことは確かに問題です。しかし、そうだとしても、河本さんがあれほどにまでバッシングされ、そして世間がここまで大騒ぎする必要があるでしょうか?

仕組まれた事件?

ヒステリックに河本バッシングに走るマスコミ、「待ってました」とばかりに応じる政府。その「出来レース」のようなやり方を見ていると、どうしても年金受給者を減らしたい政府とその政府にすり寄りたい人間がリークし、仕組んだ事件という気がしてなりません。

そうでなければ、金額的にみればほんのわずかで、しかも受給者が無自覚である場合が多い年金の不正受給について、「問題だ」「問題だ」と政府が煽っているこのタイミングで(『福祉から遠い国』(3)参照)、こんな格好のターゲットが見つかるとは思えないのです。(続く…

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