福祉から遠い国(3/8)

2019年5月29日

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そのことを心底、実感したのが、「生活保護 福祉事務所に『警官OB』」という記事を見たときです(『東京新聞』2012年4月5日)。

背景には、2010年度の生活保護不正受給件数が2万5000件と前年度比29%に膨らみ、総額約129億円という過去最悪の数字を記録したことがあるのかもしれませんが、生活保護費の実態をきちんと検討しているのかは疑問です。

同記事によると、不正受給が増えているのは事実でも、10年度の生活保護費全体に占める割合は金額でわずか0.38%。
近年は0.3%台で推移していて変化は少ないとのこと。

また、記事中に登場する「全国公的扶助研究会」の渡辺潤事務局長は「不正受給とされたケースの中には子どものアルバイト代に深刻義務があることを知らなかったなど、故意ではないケースも多い」と訴え、福祉行政に詳しい弁護士は「まずはケースワーカーが現状では少なすぎる。きめ細かく対応できるよう適正な人数を配置するべきだ。悪質な不正は必ずしも多くない。そのつど、警察と連絡を取り合えば十分だ」と提言しています。

生活保護受給の高い壁

それでなくとも、すでに生活保護の受給には高い壁があります。

今年1月、札幌市で40代の姉妹が餓死したケースでは、姉が3度も生活保護の相談に訪れていました。しかし、申請には至らなかったのです(姉が病死し知的障害のある妹も凍死体で発見 「生活苦しい」と区役所に3回相談 札幌市白石区)。

相談窓口でどんなやりとりが行われていたのかはっきりしたことはわかりませんが、少なくとも行政側は、生活保護を受けるよう、積極的には勧めようとはしなかったのではないでしょうか。

地方の財政が厳しくなる中、どの自治体も生活保護受給者を少しでも減らそうとやっきになっています。「なるべく申請をさせない」「生活保護受給者を減らす」ことが数値目標化され、「それが職員の出世と関連する」とまことしやかに語られている自治体もあるほどです。

私も耳にした申請受け取り拒否

私自身、ホームレス問題の取材や相談の場で、「水際作戦」と呼ばれる「生活保護申請の受付窓口である保護申請の受け取り拒否について何度も耳にしました。

決死の覚悟で受給申請に行った方が、窓口の職員からぞんざいな扱いを受けたり、「なぜ働こうとしないの?」「真剣に仕事を探してるの?」など、侮蔑の言葉を投げつけられ、「あんな思いをしてまで生活保護の申請などしたくない」と話していたこともありました。(続く…

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