福祉から遠い国(4/8)
そもそもどうして生活保護受給者がこんなにも増えたのでしょうか。
厚生労働省の発表によると、今年2月の生活保護受給者数は前月に比べ5499人増の209万7401人、受給世帯数は同4483世帯増の152万1484世帯。どちらも過去最多を更新しました(2月の生活保護受給者数は209万7401人で過去最多を更新)。
生活保護生体が急増しはじめたのは2009年度頃。前年の2008年はリーマンショックがあり、世界的な金融不安が起きた年でした。
規制緩和などのいわゆる小泉改革によって、労働条件は悪化し、不安定雇用、生活困窮世帯が増え続けてきた中で景気が落ち込み、「派遣切り」が社会問題として大きく取り上げられた時期でもあります(生活保護世帯数と保護率の推移)
生活困窮世帯が増えるのは当然
大企業の国際競争力確保のため、多くの労働者の働く条件を安上がりになるよう抑えこみ、景気が後退しても大企業が受ける痛手を最小限にするために「調整弁」として大量の非正規社員をつくり出してきたのですから、景気が悪くなれば当然、失業者は増え、生活困窮世帯は増えます。
そうやって企業負担を軽くし、その利幅を上げたツケを、ひとりひとりの国民が税金で支える社会保障として払っているのです。
命をもって社会構造のツケを払う
また、ちょうど社会構造の変化が顕著になった頃から、14年連続で自殺者は年間3万人を超えています。
全自殺者の約6割が無職(つまり失業状態)ということの問題点は、すでに言われているところですが、動機の最近の警察庁調査では就職活動がうまくいかなかったことを苦にした30歳未満の自殺の増加も指摘されています。
『東京新聞』(5月14日付)によると、遺書や遺族への聞き取りなどから分かったそうです。
リーマンショック以前の2007年は60人、2008年は91人だったものが、09年に130人となり、以来、高止まりとなっているとのこと。
つまり私たちは社会保障というお金としてだけでなく、かけがえのない命をもってして今の社会構造がもたらす負の部分へのツケを払っているわけです。(続く…)